請求書の受け取りをAIで楽にする:受領サービス3社と会計ソフトの機能を比較

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監修
室長TAKA(公認会計士)
監修26.10.21TAKA

会計・税務に関する記述は、公認会計士が確認しています。個別の判断は、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。

取引先から届く紙とPDFの請求書を、毎月まとめて処理するのに苦労している社長に向けた記事です。会計ソフトに付いている機能で足りるか、専用の受領サービスを足すべきかを、各社の公式サイトの記載で比べました。

診断結果

対象:取引先からの請求書を、経理の担当者1人か社長が処理している会社

  • 迷ったら、まず会計ソフトに付いている読み取りと保存で始める。受け取る請求書が月に数十枚までなら、専用のサービスは要らないことが多いです。
  • 紙の請求書が多いなら、受け取りから開封・スキャンまで任せる。代理受領のあるBill Oneか、invoxのスキャンサービス(オプション)です。
  • 承認と振込までまとめたいなら、承認の流れと振込データの作成があるプランを選ぶ。invoxはベーシック以上、freeeは「受取請求書インボイス」です。

まず、会計ソフトの機能で足りるか

主な会計ソフトには、請求書や領収書を読み取って保存する機能が、基本料金の中に付いています。受け取る枚数が少ないうちは、これで足ります。

  • freee会計:すべてのプランに、書類の電子化(枚数の制限なし)とAI-OCRでの記帳が付いています。請求明細ごとの読み取りなどの「受取請求書の高速処理」は、アドバンス以上です。
  • マネーフォワード クラウド:会計のAI-OCRは、月に読み取れる件数に上限があります(ひとり法人30件、スモールビジネス60件)。ビジネスプランは、101件目から1件ごとに料金がかかります。請求書の支払管理(クラウド債務支払)も基本料金に含まれます。支払依頼は、ビジネスプランで月10件、ほかのプランで月3件までです。
  • 弥生会計 Next:すべてのプランに、証憑の保存・管理(弥生証憑 Next)と、AIによる読み取りが付いています。

専用のサービスを足すのは、次のどれかに当てはまるときです。

  1. 紙の請求書が多い。開封・スキャン・原本の保管に、毎月まとまった時間がかかっている。
  2. 支払の承認に何人も関わる。部署の責任者が確認してから、経理が支払う流れがある。
  3. 振込の件数が多い。ネットバンキングに1件ずつ手で入力している。

元が取れるかは、今かかっている時間で考えます。例えば、1枚の入力・確認・保存・振込の登録に5分かかるとすると、月100枚で約8時間です(架空の数字の例)。この時間の人件費と、次の料金表の月額を比べます。

受領サービス3社の料金

料金は、各社の公式の料金ページと照合した台帳の値です。invoxは月ごとの基本料金に1件ごとの料金が加わり、freeeは年払いで一定の枚数を含みます。Bill Oneは料金を公開しておらず、見積もりです。

請求書の受領サービス3社の料金
プラン料金
invox受取請求書照合
ミニマム税込1,078円。月契約。初期費用0円、利用者数は無制限。請求書のデータ化は1件50円(オペレーターの確認つきは1件100円)。受領から支払までの効率化向け980円/月(税抜)
ベーシック税込10,780円。データ化の料金はミニマムと同じ。受領から支払・計上まで9,800円/月(税抜)
プロフェッショナル税込32,780円。データ化の料金はミニマムと同じ。ベーシックに加えて、データ化の時間短縮とAPI連携29,800円/月(税抜)
オプション:請求書スキャンサービス税込10,780円。各プランの月額基本料金に加える。郵送の請求書の宛先をinvoxスキャンセンターに変え、受け取り・開封・スキャンを任せる。スキャン代行は1件100円(税込110円)をデータ処理料金に加える。原本は月1回返送9,800円/月(税抜)
無料の試用
請求書10件まで無料でデータ化を試せる
インボイス制度
対応
電子帳簿保存法
対応
補助金の対象
対応
freee支出管理 受取請求書照合
受取請求書キャビネット年払いの月あたり(〜の表記)。電子保管から始めたい会社向け。保管は年600枚まで含む。600枚の追加枠は年18,000円(期中の追加購入は不可)、超えた分は1枚50円4,980円/月(税抜)
受取請求書インボイス年払いの月あたり(〜の表記)。電子保管に加えて仕訳と債務管理まで。公式の料金欄では書類の電子保管は年600枚まで含み、追加枠と超過料金はキャビネットと同じ。ヘルプセンターの料金表では、受け取る請求書は年600件まで含み、超えると1件180円(600件の追加セットは年72,000円)19,980円/月(税抜)
インボイス制度
一部対応
電子帳簿保存法
対応
補助金の対象
未確認
Bill One請求書受領照合
初期費用+年額費用年額費用は、1年間に受け取る請求書の件数で見積もる。利用者数による追加料金はなく、保存できる請求書の件数にも制限はない。初期費用には担当者による導入支援が含まれる要問い合わせ
インボイス制度
対応
電子帳簿保存法
対応
補助金の対象
未確認

は、各社の公式の料金ページと照合した日です。料金はその日時点のもので、変わっている場合があります。申し込む前に公式サイトでご確認ください。「対応」は各社の公式サイトの記載によります。「補助金の対象」は、デジタル化・AI導入補助金の対象ツールとして公式サイトに記載があるかどうかです。「未確認」は、照合した時点で確かめられなかった項目です。

料金を見るときは、次の3点に気をつけます。

  • invoxは、データ化の1件ごとの料金が、オペレーターの確認があるかで2段階に分かれます。紙のスキャン代行は、月額と1件ごとの料金が別にかかります。
  • freeeの「キャビネット」は、電子保管だけのプランです。仕訳や支払まで使うなら「受取請求書インボイス」になります。請求書の枚数が年の枠を超えた分の単価も変わります(料金表の注記)。
  • Bill Oneは、初期費用と年額費用で、年額は1年間に受け取る請求書の件数で決まります。利用者の数で料金は変わりません。

受け取る枚数別の選び方と、向かない会社

請求書の受け取りでは、社員の人数よりも、受け取る枚数と紙の割合で答えが変わります。

受け取る請求書 合う方法の目安
月に数十枚まで 会計ソフトに付いている読み取りと保存(freee会計、マネーフォワード クラウド、弥生会計 Next)
月に数十〜数百枚で、PDFが中心 invox(承認と仕訳も使うならベーシック)、freeeの受取請求書
紙が多い、拠点や部署が多い Bill One(代理受領)、invoxとスキャンサービスの組み合わせ

迷ったときの決め手は、次の3つです。

  • 紙を自社でスキャンするか。自社でスキャンするなら、どのサービスでもスキャンしたファイルを取り込めます。任せるなら、代理受領のあるサービスを選びます。
  • 承認の流れが要るか。invoxのミニマムと、freeeのキャビネットでは使えません。
  • 今の会計ソフトを変えたくないか。3社とも、freee・マネーフォワード・弥生以外の会計ソフトと組み合わせられます。

向かない会社

invoxが向かない会社

  • 受け取る枚数がとても多く、すべてをオペレーターの確認つきでデータ化したい会社。1件ごとの料金が積み上がるため、見積もりで年額が決まるサービスと総額を比べます。

freeeの受取請求書が向かない会社

  • 安い「キャビネット」で、承認や振込まで済ませたい会社。キャビネットは電子保管だけで、支払依頼や振込は使えません。

Bill Oneが向かない会社

  • 受け取る枚数が少なく、すぐに自分たちだけで使い始めたい会社。料金は見積もりで、初期費用がかかり、担当者と業務の流れを決めてから使い始めます。

4つの観点で比べる

この診断室の評価の4つの観点で、3社の違いをまとめます。読み取りの精度は、各社が数字を出していますが、条件がそろっていないため並べて比べていません。この診断室でもまだ測っていません(未確認)。

会社の規模との合い方

  • invox:月契約で、利用者の数は無制限。少ない枚数から始められる。
  • freeeの受取請求書:年払いで年600枚の枠から。利用者の数の上限はない。
  • Bill One:利用者の数や保存できる件数に制限はなく、年に受け取る件数で見積もる。

料金の総額

  • invox:基本料金に、データ化の件数分が加わる。紙のスキャン代行は別料金。
  • freeeの受取請求書:年払いの基本料金に枠を含み、超えた分が1枚ごとにかかる。
  • Bill One:初期費用と年額費用。金額は見積もりで、公開されていない。

使い始めるまでの手間

  • invox:請求書10件までのデータ化を無料で試せる。3か月の導入サポートのパックもある。
  • freeeの受取請求書:専任の担当者が、本稼働までサポートする。
  • Bill One:専任の担当者が業務の流れを組み直し、導入から定着まで支援する。

代理受領やスキャン代行を使うときは、取引先に請求書の送付先の変更を頼む手間がかかります。どのサービスでも同じです。

法令への対応

3社とも、インボイスの登録番号の確認と、電子帳簿保存法の電子取引の保存に対応しています。プランによる違いは、次の表のとおりです。

受領サービス3社でできること
紙の請求書の受け取り代行郵送先を変えて、開封・スキャンまで任せる
invox受取請求書一部対応オプションの請求書スキャンサービス(月額と1件ごとの料金が別にかかる)。郵送の宛先をinvoxスキャンセンターに変え、開封・スキャンまで任せる公式の記載
freee支出管理 受取請求書別製品「受取請求書アシスト」(別料金の外部委託サービス)で、郵送の受け取り・スキャンから仕訳の入力まで任せられる公式の記載
Bill One請求書受領対応郵送やメールで届く請求書を代理受領する。紙の請求書はスキャンを代行公式の記載
メール・PDFの取り込みメールやWebで届いた請求書を自動で取り込む
invox受取請求書対応メールの添付ファイルやURL、Googleドライブ・Boxなどから自動で取り込む(取り込みAIエージェント。追加料金なし)公式の記載
freee支出管理 受取請求書対応専用のメールアドレスやWebで受け取ると自動で格納。FAX、Googleドライブ・Boxなどからも取り込める公式の記載
Bill One請求書受領対応メールで届く請求書も代理受領してデータ化する公式の記載
登録番号の確認インボイスの登録番号が有効かを確かめる
invox受取請求書対応請求書の登録番号を読み取り、国税庁の公表システムのWeb-APIで有効かを照合する公式の記載
freee支出管理 受取請求書一部対応登録番号が国税庁のデータにあるかを自動で照合する。インボイス対応の機能は、キャビネットでは使えない(ヘルプセンターのプラン別機能表)公式の記載
Bill One請求書受領対応登録番号の照会と、適格請求書の要件を満たすかの自動判定(登録番号の記載、事業者名の一致、必要な項目)公式の記載
支払の申請・承認担当者の申請を、上長が承認する流れ
invox受取請求書一部対応申請・承認のワークフローはベーシック以上公式の記載
freee支出管理 受取請求書一部対応支払依頼の申請・承認は、キャビネットでは使えない(ヘルプセンターのプラン別機能表)公式の記載
Bill One請求書受領対応並列・直列の承認と、条件に応じた自動承認公式の記載
振込データの作成ネットバンキングに取り込む振込データを作る
invox受取請求書対応全銀形式の振込データを全プランで作れる。「invox法人振込」を使えば、1件ごとの手数料でそのまま振り込める公式の記載
freee支出管理 受取請求書一部対応支払台帳と総合振込ファイルを自動で作る。freeeからの振込・送金は、キャビネットでは使えない公式の記載
Bill One請求書受領対応FBデータ(振込データ)を作れる公式の記載
仕訳の作成と会計ソフトへの連携請求書から仕訳を作り、会計ソフトに渡す
invox受取請求書一部対応仕訳データの作成はベーシック以上。freee・マネーフォワード・弥生など50種類以上の会計システムと連携(2026年5月現在)公式の記載
freee支出管理 受取請求書一部対応仕訳と債務管理は「受取請求書インボイス」から。キャビネットは電子保管だけ。freee以外の会計ソフトのままでも使える公式の記載
Bill One請求書受領対応仕訳(取引明細)の作成と、CSV・APIでのほかのシステムとの連携公式の記載
電子帳簿保存法への対応電子取引の保存の要件と、JIIMA認証
invox受取請求書対応電子取引とスキャナ保存に対応。JIIMA認証は、同じ会社の「invox電子帳簿保存」が取得している公式の記載
freee支出管理 受取請求書対応全プランで電子帳簿保存法に対応。JIIMA「電子取引ソフト法的要件認証」をfreee支出管理として取得(2026年10月16日現在の一覧)公式の記載
Bill One請求書受領対応JIIMA「電子取引ソフト法的要件認証」を取得(2026年10月16日現在の一覧)公式の記載

対応状況は、各社の公式サイトの記載によります(「公式の記載」から元のページを開けます)。対応=すべてのプランでできる、一部対応=一部のプランや条件つき、別製品=同じ会社の別の製品(別料金)でできる、非対応=この製品ではできない、未確認=照合した時点で確かめられなかった項目です。

照合日:invox受取請求書、freee支出管理 受取請求書、Bill One請求書受領

振込と登録番号の確認は、どこまで任せられるか

振込

3社とも、受け取った請求書から振込データ(全銀形式など)を作れます(freeeはキャビネット以外)。ネットバンキングに取り込めば、1件ずつの手入力がなくなり、金額や口座の打ち間違いも減ります。

さらに、サービスの中から振り込む方法もあります。invoxは「invox法人振込」、Bill Oneは提携銀行の口座(Bill One Bank)を使います。freeeは、freeeからの振込・送金です(キャビネット以外)。どの方法でも、振り込む前に支払額と振込先を人が確かめる手順は残してください。

登録番号の確認

取引先のインボイスの登録番号は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確かめられます。登録番号(Tを除く13桁)を入れて検索し、一度に10件まで調べられます。

受領サービスは、この確認を自動で行います。invoxは、国税庁の公表システムのWeb-APIで、番号が有効かを照合します。Bill Oneは、登録番号と事業者名が合っているかなどを自動で判定します。番号が見つからない請求書は、取引先に確認してから支払います。

消費税の計算で、インボイスがあるかどうかの区分は大切です。免税事業者などからの仕入れの扱いは、インボイスの経過措置の記事で説明します。

始める前にやること

  1. 経理担当:1か月分の請求書を数え、紙とPDFの割合、承認に関わる人、振込の件数を書き出す。
  2. 経理担当:PDFで送れる取引先には、メールでの送付をお願いする。紙が減るほど、どの方法でも手間が減ります。
  3. 社長:会計ソフトの機能で足りるか、受領サービスを足すかを決める。足すなら、無料の試用やデモで、自社の請求書を数枚読み取ってみる。
  4. 経理担当:メールで受け取った請求書のPDFを、データのまま保存する形を決める。

4つ目は、法律で決まっていることです。国税庁によると、メールなどで受け取った請求書のデータは、データのまま保存しなければなりません。改ざんを防ぐ措置をとり、「日付・金額・取引先」で検索できるようにすることなどが求められます。受領サービスや会計ソフトの保存機能は、こうした要件に合わせて作られています。

会計ソフトそのものの選び方は、会計ソフト3社の比較で比べています。何から始めるかの全体の順番は、バックオフィスDXのロードマップにまとめています。

出典と確認日

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