経費精算システムの選び方(社員10〜50人):会計ソフトのシリーズか、単体のサービスか

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監修
室長TAKA(公認会計士)
監修26.10.21TAKA

会計・税務に関する記述は、公認会計士が確認しています。個別の判断は、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。

社員10〜50人で、経費精算を紙やExcelで回している会社の社長に向けた記事です。どの経費精算システムを選ぶかを、使っている会計ソフトとの組み合わせ、交通費、法人カード、承認の流れから決めます。

診断結果

対象:社員10〜50人で、紙やExcelで経費精算をしている会社

  • 迷ったら、使っている会計ソフトのシリーズの経費精算から試す。仕訳が自動でつながり、料金も使う人の数に応じて増えるだけです。
  • 交通費の精算が多いなら、交通系ICカードの読み取りと、経路検索・定期区間の控除がそろったものを選ぶ。
  • 金額や部署で承認する人を変えたい、法人カードの明細も取り込みたいなら、その機能が使えるプランかを先に確かめる。マネーフォワードはオプション、freeeはアドバンスが必要です。

まず、会計ソフトのシリーズで足りるか

freee・マネーフォワード・弥生の会計ソフトには、同じシリーズの経費精算があります。会計ソフトと同じシリーズなら、承認された経費の仕訳が会計ソフトにそのまま入ります。

  • freee会計:スターター以上で使えます。料金は、その月に申請・承認をした人の数でかかります。スターターとスタンダードは承認が1段階までで、何段階も組むならアドバンスです。
  • マネーフォワード クラウド経費:基本料金に含まれ、ビジネスプランなら5人まで追加料金がかかりません。6人目からは、その月に使った人の数でかかります。
  • 弥生会計 Next:ベーシック以上で使え、ベーシックは3人、ベーシックプラスは5人まで含みます。超えた分は1人ごとにかかります。AIが経費の種類を判定する機能と、経費精算用のスマホアプリがあります。

会計ソフトの料金とプランは、会計ソフト3社の比較の料金表にあります。会計・経費・勤怠・給与をそろえた月額の総額は、社員10人の会社の構成例と総額で計算しています。

単体の経費精算サービスを選ぶのは、次のどれかに当てはまるときです。

  1. 会計ソフトのシリーズの経費精算では、必要な機能がない(承認の分岐、法人カードなど)。
  2. 会計ソフトとは別に、稟議や購買などの申請も同じ仕組みで回したい。
  3. 会計ソフトを今後変える可能性があり、経費精算は会計ソフトから切り離しておきたい。

単体の経費精算サービスとマネーフォワードの料金

料金は、各社の公式の料金ページと照合した台帳の値です。マネーフォワード クラウド経費は基本料金に含まれるため、ここでは単体のサービスと並べて載せます。

経費精算の料金(単体のサービスとマネーフォワード)
プラン料金
マネーフォワード クラウド経費照合
スモールビジネス(基本料金)年払いの月あたり(月払いは月5,980円)。経費は3名まで。人数の追加はできない4,480円/月(税抜)
ビジネス(基本料金)年払いの月あたり(月払いは月7,980円)。経費は5名まで含む6,480円/月(税抜)
追加:6名以上ビジネスプランのみ。その月に経費の登録や申請をした人だけが課金の対象(管理・承認の権限がある人は操作しなくても対象)500円/1ユーザー・月(税抜)
オプション:コーポレートプラン電子帳簿保存法の機能、日当、法人カード連携、承認の分岐ルールが使える。最低5アカウント、月1,000円から200円/1ユーザー・月(税抜)
オプション:エンタープライズプランコーポレートに加えて仮払い、カスタム項目など。領収書のオペレーター入力が無制限。最低10アカウント、月4,000円から400円/1ユーザー・月(税抜)
無料の試用
1か月(ビジネスプラン相当)
インボイス制度
対応
電子帳簿保存法
一部対応
補助金の対象
未確認
ジョブカン経費精算照合
ジョブカン経費精算経費精算と支払依頼の申請・承認、交通費、ICカードの読み取り、自動仕訳、会計ソフト連携。月額の最低料金は5,000円400円/1ユーザー・月(税抜)
経費精算・ワークフローセット汎用の申請書(稟議など)も電子化するジョブカンワークフロー(単体は1ユーザー月300円)とのセット。月額の最低料金は5,000円600円/1ユーザー・月(税抜)
オプション:タイムスタンプ100円/1ユーザー・月(税抜)
オプション:AI-OCR100円/1ユーザー・月(税抜)
無料の試用
30日間
インボイス制度
対応
電子帳簿保存法
対応
補助金の対象
未確認
楽楽精算照合
月額費用「〜」の表記で、利用する従業員数とオプションで変わる。別に初期費用100,000円(税抜)がかかり、専任担当の導入支援が含まれる。詳しい料金表は資料請求が必要30,000円/月(税抜)
インボイス制度
対応
電子帳簿保存法
対応
補助金の対象
対応

は、各社の公式の料金ページと照合した日です。料金はその日時点のもので、変わっている場合があります。申し込む前に公式サイトでご確認ください。「対応」は各社の公式サイトの記載によります。「補助金の対象」は、デジタル化・AI導入補助金の対象ツールとして公式サイトに記載があるかどうかです。「未確認」は、照合した時点で確かめられなかった項目です。

料金を見るときは、次の3点に気をつけます。

  • ジョブカン経費精算は1ユーザーごとの料金ですが、月の最低料金があります。経費精算だけを使う場合、利用者が12人以下なら最低料金になります。
  • 楽楽精算は、初期費用と月額費用がかかります。月額は利用する従業員の数とオプションで変わり、詳しい料金表は資料請求が必要です。交通系ICカードや領収書の読み取りはオプションです。
  • マネーフォワード クラウド経費は、電子帳簿保存法の機能、法人カードの連携、承認の分岐が、オプションのコーポレートプラン以上です。料金ページの機能表によります。

社員の人数別の選び方と、向かない会社

人数 合う選び方の目安
6〜20人 会計ソフトのシリーズの経費精算(freee会計のスターター以上、マネーフォワードのビジネス、弥生会計 Nextのベーシック以上)。単体なら、最低料金の範囲で使えるジョブカン経費精算
21〜50人 承認の分岐と法人カードが要るかで選ぶ。シリーズならfreee会計のアドバンスか、マネーフォワードのコーポレートプラン(オプション)。単体ならジョブカン経費精算か楽楽精算

迷ったときの決め手は、次の3つです。

  • 社長が承認で止めていないか。どの製品にも、スマホのアプリやスマホから申請する手段があります。社長が外出先で承認するなら、承認の操作を試用期間に社長自身で試します。
  • 交通費の割合。交通費が経費の大半なら、ICカードの読み取りと定期区間の控除がある製品を選びます。
  • 法人カードを使っているか。カードで払う経費が多いなら、カードの明細を取り込めるプランにします。

向かない会社

会計ソフトのシリーズの経費精算が向かない会社

  • 金額や部署で承認する人を変えたいのに、上位のプランやオプションを使わない会社。freeeのスターター・スタンダードは承認が1段階まで、マネーフォワードの分岐ルールはコーポレートプラン以上です。

ジョブカン経費精算が向かない会社

  • 経費精算を使う人がごく少ない会社。最低料金がかかるため、会計ソフトのシリーズの機能のほうが安く済む場合があります。
  • JIIMA認証を受けた製品を選びたい会社。ジョブカン経費精算は、JIIMAのスキャナ保存と電子取引の認証製品の一覧に載っていません(2026年10月16日現在)。

楽楽精算が向かない会社

  • 社員10人前後で、導入の費用を抑えたい会社。初期費用がかかり、交通系ICカードや領収書の読み取りもオプションです。

4つの観点で比べる

この診断室の評価の4つの観点で、違いをまとめます。画面の分かりやすさや、申請にかかる時間は、まだ試していません(未確認)。

会社の規模との合い方

  • 会計ソフトのシリーズ:使う人の数に応じて料金が増える。少人数から始めやすい。
  • ジョブカン経費精算:1ユーザーごとの料金。最低料金があるため、少人数では割高になりやすい。
  • 楽楽精算:承認ルート・カード連携・振込データなど機能が多い。初期費用があり、人数が多い会社ほど費用に見合いやすい。

料金の総額

  • 総額は、経費精算を使う人の数 × 単価と、最低料金・オプションで決まります。
  • 承認する人(上長や社長)も、課金の対象になる製品があります。マネーフォワードは、管理・承認の権限がある人は操作しなくても対象です。

使い始めるまでの手間

  • ジョブカン経費精算:30日間無料で試せる。初期費用とサポート費用はかからない。
  • 楽楽精算:初期費用に、専任の担当者による導入支援が含まれる。
  • 会計ソフトのシリーズ:会計ソフトの無料試用の中で試せる。期間は、マネーフォワードが1か月、freeeが30日間、弥生が最大2か月。

法令への対応

経費精算では、領収書をデータで保存する要件(電子帳簿保存法)と、インボイスの確認が関わります。3つの製品の対応は、次の表のとおりです。

経費精算でできること
交通系ICカードの読み取りSuicaやPASMOの利用履歴から交通費を申請する
マネーフォワード クラウド経費対応ICカードから交通費を入力できる(基本プラン)公式の記載
ジョブカン経費精算対応交通系ICカードの利用履歴を読み取って交通費を申請できる公式の記載
楽楽精算一部対応オプション。スマホアプリやカードリーダーで交通系ICカードの履歴を取り込む公式の記載
経路検索と定期区間の控除乗換案内で運賃を出し、定期券の区間を差し引く
マネーフォワード クラウド経費対応経路検索から交通費を入力できる(定期区間の控除は料金ページに記載なし)公式の記載
ジョブカン経費精算対応乗換案内と連携して交通費を自動で計算し、定期券の区間を控除する公式の記載
楽楽精算対応ジョルダンの「乗換案内」を内蔵。定期区間を登録すると自動で控除する公式の記載
法人カードの明細の取り込みカードで払った経費を、明細から申請する
マネーフォワード クラウド経費一部対応コーポレートカード連携は、オプションのコーポレートプラン以上公式の記載
ジョブカン経費精算対応コーポレートカードの機能がある公式の記載
楽楽精算対応法人のクレジットカード・プリペイドカードの利用明細を自動で取り込む(料金表は資料請求のため、オプションかどうかは未確認)公式の記載
領収書の読み取りスマホで撮った領収書から金額や日付を読み取る
マネーフォワード クラウド経費対応領収書の画像データの自動取得と読み取り。オペレーターの入力は1枚ごとの料金(エンタープライズは無制限)公式の記載
ジョブカン経費精算一部対応AI-OCRはオプション(1ユーザーごとの月額料金)公式の記載
楽楽精算一部対応専用アプリで撮影した領収書を読み取る機能は、電子帳簿保存法オプションの一機能公式の記載
スマホでの申請・承認社長が外出先から承認できるか
マネーフォワード クラウド経費対応スマホでの申請・承認(ビジネスプランのよくある質問)公式の記載
ジョブカン経費精算対応スマホでの申請と承認。QRコードでの承認、一括承認、代理承認もある公式の記載
楽楽精算対応スマホアプリでの申請と、ボタン1つでの承認公式の記載
承認の分岐金額や部署によって承認する人を変える
マネーフォワード クラウド経費一部対応ワークフローの分岐ルールは、オプションのコーポレートプラン以上公式の記載
ジョブカン経費精算対応承認経路の分岐を設定できる公式の記載
楽楽精算対応申請内容や金額などの条件で承認ルートを分岐できる公式の記載
仕訳と振込のデータ会計ソフトへの仕訳と、振込データを作る
マネーフォワード クラウド経費対応会計ソフト連携とワンクリック振込(ビジネスプランのよくある質問)公式の記載
ジョブカン経費精算対応仕訳データとFBデータ(振込データ)を作り、会計ソフトに出力する公式の記載
楽楽精算対応自動仕訳と会計ソフト連携。全銀協フォーマットの振込データ(FBデータ)も作れる公式の記載
電子帳簿保存法への対応領収書をデータで保存する要件と、JIIMA認証
マネーフォワード クラウド経費一部対応料金表では電子帳簿保存法の機能はコーポレートプラン以上。同じページのよくある質問はビジネスプランに含むと記載。JIIMAのスキャナ保存・電子取引の認証を取得(2026年10月16日現在の一覧)公式の記載
ジョブカン経費精算対応電子帳簿保存法の対応機能がある。タイムスタンプはオプション。JIIMA認証の一覧(2026年10月16日現在)には掲載なし公式の記載
楽楽精算一部対応電子帳簿保存法オプションで、スキャナ保存と電子取引に対応。JIIMAのスキャナ保存・電子取引の認証を取得(2026年10月16日現在の一覧)公式の記載

対応状況は、各社の公式サイトの記載によります(「公式の記載」から元のページを開けます)。対応=すべてのプランでできる、一部対応=一部のプランや条件つき、別製品=同じ会社の別の製品(別料金)でできる、非対応=この製品ではできない、未確認=照合した時点で確かめられなかった項目です。

照合日:マネーフォワード クラウド経費、ジョブカン経費精算、楽楽精算

交通費と出張旅費は、インボイスがなくても控除できる

交通費の精算が多い会社が知っておきたい点です。国税庁によると、次のものは、インボイス(適格請求書)がなくても消費税の仕入税額控除が認められます。一定の事項を書いた帳簿を保存するだけで足ります。

  • 税込3万円未満の電車・バスなどの公共交通機関の運賃
  • 従業員に支払う、通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当

このほか、基準期間(法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が1億円以下などの会社には、少額の特例があります。2029年9月30日までに行う税込1万円未満の仕入れも、帳簿の保存だけで認められます(国税庁)。

帳簿には、どの特例に当たるかなどを書く必要があります。経費精算システムで、交通費や出張旅費の区分を正しく付けておくと、会計ソフトに渡ったあとの確認が楽になります。個別の取引が特例に当たるかは、顧問税理士か所轄の税務署に確認してください。

領収書の原本と、データでの保存

スマホで撮った領収書を、データのまま保存することもできます。電子帳簿保存法の「スキャナ保存」の要件を満たす必要があります(国税庁のスキャナ保存関係のページ)。

また、ネットで買い物をしたときの領収書など、データで受け取った領収書は、データのまま保存する義務があります(国税庁)。経費精算システムの電子帳簿保存法の機能は、こうした保存の要件に合わせて作られています。上の表のとおり、プランやオプションによって使えるかが変わります。

何から始めるかの全体の順番は、バックオフィスDXのロードマップにまとめています。

出典と確認日

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